結婚式場の聖歌隊。 いつも美しい声で挙式を盛り上げるのが、彼ら彼女らのお仕事ですが、一体どのような曲を歌っているのでしょうか。 今回は、聖歌隊がよく歌う曲をご紹介するとともに、その曲の裏側に隠された、聞いちゃいけない！？　裏話も大公開いたします。

■１．『アヴェ・マリア』

聖歌隊が歌う定番曲のひとつが、アヴェ・マリアです。 よく聞くような気がする『アヴェ・マリア』という曲も、実は２種類あります。シューベルトが作曲したものと、もうひとつは、バッハとグノーという二人の作曲家がコラボレーションしてできた、アヴェ・マリアです。 もっと言えば、アヴェ・マリアと題された曲はさらにいくつもありますが、聖歌隊がよく歌うとなると、ほとんどがこの２つでしょう。 いずれも、歌詞はラテン語で、聖母マリアがイエスキリストを受胎したときの福音書をもとに作詞されています。 曲を聴けば、どちらもが「あー。知ってる」と思うことのできる曲だけに、新婦入場や、指輪の交換など、様々なシーンで登場率の高い曲であるといえます！

■２．『アメイジング・グレース』

この曲も有名どころで、ゴスペルの中でもなにか感動させるものがあるということで、日本の挙式で歌われることがよくあります。 曲名は、日本語で「すばらしき恩寵」と訳されることが多いようです。歌詞の内容は、神様のかぎりない恵みと、ありがたさを歌ったものなので、挙式に歌う歌としてはNGであるとはいえません。 アメイジング・グレースという曲が作られた背景については、Webで語られることも多いので、奴隷貿易への懺悔であるということをご存じの方もいらっしゃるでしょう。

■３．『結婚行進曲（婚礼の合唱）』（ワーグナー作曲）

有名な結婚雑誌のCMで有名になった『結婚行進曲』以外にも、もうひとつ『結婚行進曲』と呼ばれる曲があります。どちらも、『アヴェ・マリア』同様、聞けば「ああー」となる曲で、とりわけワーグナーが作曲したほうは、チャペルの雰囲気にもよく合う荘厳な味があり、聖歌隊へリクエストされることもあります。「婚礼の合唱」と呼ばれることもありますよ。挙式場によっては、この曲を標準の新婦入場の曲にしているところもあることでしょう。 しかし、実はこのワーグナーの結婚行進曲、『ローエングリン』というオペラの曲。そもそも、このオペラ自体、夫婦となった二人が結婚式を行うけれども、その初夜にもろもろの事情で別れが訪れるというトンデモなストーリー！　しかも、『結婚行進曲』という曲の歌詞は、結婚式が終わったので寝室に行きましょう♪という、まあ、ちょっとしたお色気のある歌詞となっており、これからチャペルに入場する花嫁のBGMとしては……多少の疑問も残されています。

どれも有名な結婚式の曲で、曲の背景にこだわりがなければ挙式にはピッタリ！　ただ、ワーグナーの婚礼の合唱については、相当驚かれる方も多いのです。そして最近まできわめてマイナーだったこのお話、最近テレビで有名なバイオリニストの方が暴露したおかげで一気に有名になりました（そのときは歌詞の意味までは言及がなかったのですが）。もし気になるなら、この曲は外して考えるなど、工夫も必要かもしれませんね！