先生の婚約者
「先生、好きです! 結婚を前提に付き合ってください!」
椋(たかせ りょう)先生に告白したのは、高校二年の春。子どものくせに何が結婚だ。生徒と付き合う趣味はない。などと言われるのを覚悟していたけど、
「僕で良ければ」
とまさかの返事だった。
あたし、赤坂凪(あかさか なぎ)は椋先生と付き合うことになった。それも、結婚を約束した……婚約者に!
「卒業まであと一ヵ月だね~」
手芸部では卒業式に後輩に贈る、キーホルダー作りに勤しんでいた。
友達とこれからのことを話す。大学や専門学校、就職などの進路。彼氏とのこと。
あたしはニヤニヤしながら手を動かす。
「凪、何それ?」
友達があたしの手元を覗き込む。
「ふふっ、内緒!」
隠すように作業を続けた。友達は文句を垂れるけど、気にしない。
これは愛しい先生に渡す、婚約指輪なんだから――
「確かこっちにくるのを見かけたんだけどな……」
指輪が出来て、職員室に押しかけようとした、その時。手芸部の窓から椋先生が見えた。あたしはすぐに追いかけた。
廊下を走って、体育館の裏まで。
「椋先せ――」
「好きです、付き合ってください」
呼ぼうとした名前を慌てて飲み込む。まさかの告白現場に出くわしてしまった。
(あれ? でも、こっちにきたのは確か……)
嫌な予感がする。
あたしは恐る恐る覗き込むと、女子生徒が見えた。もう少し先にいくと、椋先生がいる。
ドクンと心臓が、大きく脈打つ。
椋先生は何て言うの? 相手は生徒。でも、あたしという彼女が――
「ありがとう」
御礼を口にした。
「ってことは……」
「……赤坂?」
二人に見付かってしまった。足に力が入らない。その場にしゃがみ込んだ。
「どうした? 大丈夫か?」
椋先生が手を伸ばしてくれる。でも、あたしは手に持っていた指輪を投げつけた。
次の瞬間、全力疾走でこの場からいなくなった。
「離してください!」
追いついた椋先生に、腕を掴まれる。
暴れるけど、離してくれない。胸を叩いたり、軽く蹴ったりするけど、椋先生はビクともしない。
「あたしのことなんて、もう好きじゃないんでしょ!?」
「どうしてそうなる」
「だから、告白受けて! そして……」
ありがとう、って言った! そう叫ぼうとした時、唇が塞がれた。舌が絡み合う。端からどちらのものかわからない唾液が、滴り落ちた。
「ん、ぅ……」
呼吸もままならない。もう一度、椋先生の胸を叩くけど、無意味。舌を吸い、歯列をなぞる。あまりの快楽に、背中がゾクゾクした。
学校の廊下で椋先生とキス。
「ぷは……っ」
顔が離れたと思ったら、手を引かれて空き教室に引き込まれる。
「あの……んっ」
再び唇が重なる。吐息を漏らしながら、深い口づけを繰り返す。その間、椋先生はあたしの制服、ブラウスのボタンを外していく。
「卒業してからって決めてたけど……」
下着を口でずらして、露わになった小さな果実に噛みついた。
「ひあぁっ!」
「もう、我慢してあげないよ」
固くなった蕾を舐め、もう片方は掌で優しく揉む。指圧によって、形が変わる度に下腹部が、熱くなるのを感じた。
「せんせ……」
腰をよじらせながら、視線を向ける。
「どうしたの?」
脚をゆっくりと開かされて、内腿を撫でられた。ゾクッと感じる度に、秘部が潤うのがわかる。
「どうして欲しいか、言ってご覧?」
椋先生は意地悪く微笑んだ。
あたしは恥ずかしい気持ちを我慢して、スカートを摘まみ上げる。
「ここも……触ってください……」
「よく言えました」
クスッと笑うと、ゆっくりと下着を取る。椋先生の骨ばった指が、濡れそぼった割れ目に触れた。
「あ、あぁ……」
秘裂をなぞられ、嬌声が漏れる。
ゆっくりと指が蜜壷に沈み、媚肉をかき分けた。緩やかに上下に動かれると、電流があたしの中を駆ける。
「んぅ、あ……っ」
淫猥な水音が、教室内に響く。あたしは椋先生のスーツを掴み、快感に耐えた。
「そんな顔されると……我慢出来なくなるよ?」
啄むキスをされてから、あたしは静かに頷く。
「先生が、欲しいです……」
下腹部に熱く猛ったモノが当たる。椋先生はそれを取り出して、陰唇に宛がう。
「いくよ……っ」
徐々に腰を沈めて、剛直が内壁を押し分けて入ってくる。愛液がまとわりついて潤滑油のようになって、奥へと誘う。
「あ、あぁ……ふぅ……んっ」
「全部入ったよ、凪」
「っ!」
名前を呼ばれて、きゅっと彼を締め付けた。
「それ……ヤバイ」
「だって、先生が……」
名前呼ぶから、とは言えなかった。唇を塞がれてしまう。椋先生は緩やかな抽送を始めて、媚肉を引っ掻くように進む。
「ん、んん……っ」
口内と秘部を同時に愛されて、あたしは頭の中が真っ白になっていく。
上下運動は次第に激しさを増して、机が軋み始めた。最奥を突かれる度に、快感に落ちていく。
「はぁ、んっ……先生……っ」
「凪、僕の名前……呼んで?」
きゅっと奥が締まるのが、わかる。好きな人に名前を呼ばれるだけで幸せな気持ちになる。
「りょ、椋……っ、んあぁっ!」
深く貫かれて、思わず声が大きくなる。
肉打つ音が大きくなり、教室中に響く。剛直は泉をかき回しながら、底を目指して叩いた。快楽が襲い、何も考えられなくなる。
「あたし、イク……んぅ、はぁんっ」
「じゃあ、一緒にイこう……っ」
激しい抽送が行われる。きゅうっ、と締め上げると熱いものが込み上げてきた。
「ふぅ、んっ……あぁぁんっ!」
ドクンと脈打つ怒張に媚肉が絡みついて、搾り上げる。快楽に痺れた身体が震えた。
「はぁ、はぁ……椋、好き……」
覆い被さる椋先生に、あたしは抱きつく。
「僕も好きだよ」
だから、と付け足して、頬を撫でた。
「この指輪、もらっていい?」
左手薬指には、さっき投げたはずの手作りの指輪があった。
「どうして……」
「最愛の人からのプレゼントだからね」
「先生……っ!」
「あと、これ。僕からのお返し」
ポケットからケースを取り出して、中から可愛らしい指輪が現れた。
「これって……」
「婚約指輪」
「先生、大好き!」
互いに抱き締め合い、そして口づけを交わす。左手で手を絡めた。
早くこの指輪が似合う女性になろうと、高校生活残りわずかで思った――。
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